オランウータンは熱帯林をすみかとする“森の人”です。

 東南アジアで行われる木材の伐採や農地の拡大は、彼らに深刻な影響を与えています。かつては、東南アジアの広い範囲に分布していたといわれていますが、今ではインドネシアのスマトラ島の北部とボルネオ島にしか見られません。過去20年間で生息地が80%も減少しました。森林破壊がオランウータンの減少に拍車をかけています。
 チンパンジーやゴリラと違い、群れを作らないオランウータンは一生のほとんどを熱帯林の木の上で過ごします。木の実、皮などを食料とするため、彼らは森がなくては生きていけません。

 今では、世界自然保護連合(IUCN)の出している、世界の絶滅のおそれのある生物(レッドデータ・ブック)に、絶滅のおそれのある種にあげられています。また、オランウータンの生活の場である「熱帯雨林」も危機的な状況です。

「森林はあと30〜40年でなくなってしまう」とFAO(国連食糧農業機関)が警告しています。インドネシアの熱帯雨林は20年以内に消滅が懸念されています。
 


●不法なペットとしての狩猟・交易
ペットとして販売するために母親が射殺され子供が捕獲されます。
これはオランウータンは子供が生まれて6年とも8年とも言われる養育期間を必要とし、生涯のうちに数頭しか子供を産まないということから、種の存続の上から大変な問題なのです。

●森林伐採で20年後には絶滅も!
 米ハーバード大学のシェリル・ノット助教授と米地理学協会は、インドネシアなどのオランウータンの生息地では、国立公園の中でも違法な森林伐採が横行しており、 このままでは20年たらずで野生のオランウータンは絶滅するとの調査結果を発表しました。同教授は、「すでに生息地の80%が破壊されている。国際的な取り組みで違法伐採を無くすことがオランウータンの保護にとって急務だ」と指摘しています。
 調査によると、インドネシアやマレーシアに残るオランウータンの数は最大でも2万4千頭。1万5千頭以下に減っている可能性もある。約2500頭という最大の群れが生息するインドネシア・カリマンタン島のクヌン・パラン国立公園でも、違法伐採によって森林の減少が目立ち、過去数ヶ月間の間に300〜500本の大木が伐採された。(『月間 環境未来11月号(vol.125)より』
 

 現在、オランウータンはスマトラ島に7,000頭以下、日本の2倍の面積を持つボルネオ島でも55,000頭以下しか残っていないと推測されています(revison of PHVA 2004; PHVA draft by wich et al. 2008)。しかしながら、現在も急速な森林破壊が進んでいることや密猟・違法取引もあとを絶たないことなどから、実際の数はもっと少なくなっていると考えられています。 


一目でわかる:激減・分断化するボルネオ・オランウータンの分布

                                                                   出典: "Treasure Island at Risk", 2005, WWF Germany



オ ラ ン ウ ー タ ン の 生 息 地
 
                                                     UNEPの地図(2002)を改変



        





 オランウータンはボルネオとスマトラの熱帯雨林の広い範囲に棲息しています。オランウータンたちは大変多くの種類の果実や葉を必要とします。しかも、人の手が入らない森が必要なのです。

 オランウータンの生存数は熱帯雨林の生態系の健全度を表すバロメーターです。現地語で「森の人」とも言われているように熱帯雨林に欠かす事のできない動物です。

 特に、彼らは植物の種子を蒔く役割を持つ、まさに“森を作る人々”であり、森林を維持・発展させるために欠かせないからです。オランウータンが元気に棲息できることは、熱帯雨林も健全に繁茂していることを意味しています。



他を害さないオランウータンの住みかを奪った人類
こんな豊かな熱帯雨林では山火事は起こらない

   



伐採・焼畑で荒廃したもと熱帯雨林・人類の罪の跡

   





BOSにおけるリハビリテーションは次のステップで進められています

1. 検疫(通常2〜3週間)
  センターに到着した全てのオランウータンが検疫をうけます。ここでは身体検査や臨床検査が行なわれるほか、個体識別のための指紋採取を行ないます。さらに、感染症や銃創の有無、寄生虫検査なども実施します。
 健康なオランウータンは2.に進みます。
 問題がみつかったオランウータンは検疫にとどまるか、治療のためクリニックに運ばれます。幼いオランウータンはベビー・ルームに移され、一対一のつきっきりで世話を受けます。

2. 社会化(3ヶ月〜10ヶ月以上)
 オランウータン達は森の学校(Forest Schools)に移されます。森の学校に行くには大きくなりすぎた個体は同じような年齢で相性の良い仲間たちがいる社会化ケージに入ります。
 センターに来る大部分のオランウータンは10歳以下であるため、まだ学ばなければならないことが残っているのです。
 幼いオランウータン達は、社会化という段階で他の幼いオランウータン達と共にすごし、人間の「代理母」の世話をうけます。
 この期間を通じて枝葉で寝床を作る方法を学んだり、森の中で野生のオランウータンが食べている物がどんなものか学びます。
 そしてそれぞれのオランウータン達についてその成長ぶりが記録されます。

3. 森の学校(6年〜9年)
 場所的には2.とも重複しますが、Forest Schoolsと呼ばれる段階です。サンボジャ・レスタリ内にある天然林のエリアで生きるための技術を学びます。日中、オランウータン達は木々の中を自由に動き回り、森で生きる術をさらに高めていきます。適切な監視の下でオランウータン達の行動は毎日記録されます。
 そして日没を目処に、睡眠用のケージに戻ります。

4. ハーフウェイ・ハウス(平均6ヶ月)
  
第2の森の学校(Forest school 2)です。森で生活する技術(木登り、寝床作りなど)をかなり修得したオランウータン達のための段階です。小さな森林の中で自分自身で食べ物を探したりするなど、本当の森林の中で生活するための学習を続けます。

5. リリース(再導入)
 最終段階であるリリースは、リリースに適切な場所がみつかり、そしてオランウータン達が森の中での生活に必要とされる要素を全て会得したときに行なわれます。
 リリース候補となったオランウータン達は年齢や体格、性別に応じてグループ分けされます。
 

●100円の寄付でできることの紹介
 ・オランウータンの赤ちゃん一日分のミルク代(1.5L分)
 ・オランウータンの赤ちゃん用哺乳瓶5本
 ・病気になったオランウータンの赤ちゃん用ビタミン剤(1週間分)
 ・バナナ25本
 ・マンゴー4個
 ・訓練用のへび2匹

 



 

※2009年現在、リハビリ費用として一頭当りUS$130がかかっています。






 





 






1991年東カリマンタン州バリックパパン市のWanarisetで数頭の赤ちゃんのオランウータンから始まり、これまでに750頭余りのリハビリを行いました。
これまで東カリマンタンにて400頭以上、中カリマンタンで100頭のオランウータンを森に帰≪リリース≫しています。しかし、現在までリリースしたオランウータンが確実に自然に帰って生存しているかという問題や、オランウータンが生息できる自然の森がなくなってしまっているという問題があります。
現在のBOSが運営する各地のオランウータン保護とリハビリセンター、プロジェクトの概要は以下の通りです。


A)リハビリセンターの現状

大きな地図で見る  <Wanariset>
ワナリサット・リハビリセンター
インドネシアのオランウータンの保護活動のすべての始まりはこの施設からです。1991
年からサンボジャレスタリの施設に移管されるまで2003年まで12年あまり活動してきま
したが、 現在はWanariset-Sambojaとして移設・統合されています。


@<Wanariset-Samboja> 
ワナリセット−サンボジャ
1998/98年の大森林火災の際に大量のオランウータンが森から追われる被害に遭いました。
このためにWanarisetの施設に収容が不可能となり、当時の林業大臣ジャマルディン氏の呼びかけにより当時の団体をより大きな団体・組織にする努力がなされました。
 その後、2003年BOS日本を含む世界12カ国の支援体制が出来て、より幅広い活動をするために バリックパパン オランウータン サバイバル ファンデーションからボルネオ オランウータン サバイバル ファウンデーショと改名されました。
 この新しい支援体制のもとSamboja Lestariプロジェクトが開始されました。ここは火事などにより荒廃した約2,000ヘクタールの土地をBOSが確保したもので、ここに森林を再生することでオランウータンやマレーグマなどの保護区を創設しようとするものです。
 Wanariset-Sambojaはそのエリア内で保護・救護されたオランウータンのリハビリテーションを行い、彼らの本来の生息地に帰すことを目的としています。
 現在はWanarisetから移された個体を含む225頭のオランウータンがリハビリ中のほか、52頭のマレーグマが保護されています。
しかしながら森林の再生が進んでも施設で収容している全てのオランウータンをリリースするには十分な広さではなく、病気や老齢などで自然の森に帰せないオランウータンの棲みかにすることが想定されています。
 今後、リハビリを終えた元気で健康なオランウータン達をリリースする森の確保が急務で必要です。



オランウータン収容数の推移
A<Samboja Lestari>  サンボジャレスタリ
 かつて雑草に覆われ、毎年のように火災に見舞われていた1,850ヘクタールの土地において森林再生を目指すプロジェクトです。森林の再生に伴い野生動物が戻ってきているほか、カリマンタンにおける在来植物種を集めた植物園の機能も果たしています。Wanariset-Sambojaなどの野生動物保護プロジェクトの中心地にもなっています。
 ●苗床
  在来樹種や果実、薬用植物、蘭科など約750種の植物の苗が育てられています。
 ●植林とケア
  2007年末までに640種50万本の植物が1,085ヘクタールの土地で育っています。ケアには死んだ
  苗木の交換、草刈、害虫駆除、施肥などが含まれます。
 ●植物園
  82ヘクタールがカリマンタン在来種の保護のため植物園として割り当てられています。
 ●堆肥化施設
  食べ残しやオランウータンなど動物からの排泄物が堆肥化され、Samboja Lestariを取り囲む砂質
  土壌の改善に重要な役割を果たしています。
 ●有機農園
  食べ残しや動物の排泄物、そして植物に優しい有機殺虫剤を利用し、有機農法のモデルケース
  として活用されています。
 ●火災管理
  再生中の土地は火災の被害を受けやすいことから、緩衝地を設けたり貯水池を作ったり、消火
  チームを組織・訓練するなど充分な対策を講じています。
 ●研究・開発
  植物学や生物多様性、植物の成長率やバイオマス量の測定、気象データの収集などのほか、
  アグロフォレストリー研究用の土地も確保されています。
 ●地域社会強化
  雇用機会の増加、野生動物への食料供給、手工芸品製作者等へのなどへの日常的な支援などに
  貢献しています。地域社会の強化と参画はSamboja Lestariプロジェクト成功にとっての優先事項です。

「オランウータンの森づくり」サポーター募集中!

Create Rain Forest Project に御協力を!(英語サイト)


インドネシア地図(上)
東カリマンタン地図(下)
BOSプロジェクトサイト
(カリマンタン島)
植林地衛星地図






BNyaru Menteng ニャルメンテン
 Nyaru Mentengのリハビリセンターは1999年デンマーク人女性のLone Droscher Nielsenさんにより開設されました。場所は中カリマンタン州のPalangka Rayaから28kmのところにあり、周りは熱帯雨林管理局により管理されている森林が広がっています。果樹園と大きな自然保護林に囲まれており、今後リハビリが終了したオランウータンをリリースしてあげる環境としても恵まれています。現在638頭のオランウータンをリハビリ中です。
 WSPA(World Society for the Protection of Animal)のサポートがなければこの施設の維持は出来ませんでした。現在も継続してサポートしています。

 

 





CMawas マワス
 中カリマンタン州の泥炭地保全プロジェクト。中カリマンタン州の熱帯泥炭湿地林はニ酸化炭素を吸収・固定するその能力から「地球の肺」としても知られています。
Mawasは南バリトとカプアスの2つの地域にまたがっていて、国際自然保護連合のレッドリストに掲載されている48種、ワシントン条約に記載されている48種の生物が確認されるなど希少動植物を含む豊かな生物多様性に恵まれています。
 オランウータンの保護のためのエリアは現在約18万haと約24万haの2箇所地域があります。また州政府と別な30万haの保護林区確保の基本合意がなされています。エリア内外には58の村があり29,000人の村民が住んでいます。
 60,000人の移住者を惹きつけたメガライスプロジェクトの北端に位置することもあり、メガライスプロジェクト失敗後に残され、貧困にあえぐ地元住民および移住者の集落を支援しながら、森林と泥炭地を荒廃させない持続可能な生活手段の開発の手助けも行なっています。
 Mawasプログラムは提案されている泥炭地での大規模プランテーションの開発を、泥炭地に悪影響を与えない場所での持続可能な農業及び非木材林産業に置き換えることを目指しています。同時に、泥炭地からの排水を防ぐため、用水路の位置を特定し堰き止めることで泥炭地の地下水面の回復と火災リスクの低減を図っています。これらを通じて、泥炭地からの大量の二酸化炭素放出を抑制することは地球温暖化対策への貢献でもあるのです。
 現在、3,000頭のオランウータンがこの地域に生息していると推定されており(PHVA: Habitat Viability Assessment)、Mawasは最大5,000頭のオランウータンの生息を支え、野生下での種の存続の一助となる重要な保護区になる規模を持っています。



<参考> Sumatran Orangutan Society(SOS)
 SOSはスマトラのオランウータンの保護活動と彼らの住む森の保護活動に取り組んでいます。また、国際的な草の根運動やインドネシア国内保護機関や地元住民との協力体制作りに取り組んでいます。学校を訪問してオランウータン保護の支援広報活動や地域住民が持続的にこの地域で生計を立てることが出来るような植林事業の指導も行っています。
 国内外の人々にオランウータン保護への理解を深め、天然林の保護・支援を広めるために、この地域へのエコツアーを実施しています。



B)課題
 東カリマンタン州バリックパパン市の郊外にあるSanboja Lestariでのリハビリ訓練には月額US$130/頭の費用がかかる経費の問題やリハビリを終えたオランウータンをリリースしてやる森が近隣に無いことが課題となっています。
 さらに、インドネシア林業省から 「2017年以降はインドネシア国内においての檻の中で保護・養育されるオランウータンはいなくする」 という政府方針が発表されました。


●NyaruMentengにヨーロッパの国々からの支援リハビリセンター周辺の森林が林業省や州政府により保護管理されており、 リリースできる森林も存在しています。

●Mawasにおいては、基本が天然林でオランウータンを保護管理するシステムで地元州政府や住民との協力関係もスムーズに行なわれています。


★Sanboja Lestari においての問題は
 周辺森林2,000haは確保されて、果物の木の植林を行なっております。しかし、現在リハビリ中の225頭には、少なくとも30,000ha程度の森林が必要です。
 2008年12月5日のBOS日本代表理事と面談の際、現在ボゴール大学教授でBOSインドネシア本部理事長で元農業大臣 (ワヒド大統領、メガワティー大統領政権時)のBungaran Saragih(ブンガラン サラギ)氏より、「東カリマンタンのSamboja LestariプロジェクトはBOS日本が支援を続けてきた経緯もあり、将来オランウータンをリリースして自然状態で保護管理する森を確保することに協力して頂きたい」との申し入れがありました。

★申し入れがありました
オランウータンの生活する森がない現状を解決するためにトラスト活動を開始いたします。
詳細はこちら